2014年10月14日火曜日

長い長い一日

 今日は非常勤で出講している大学が,学際で休講だったので,いろいろな用事をこなして忙しい一日.
 いきなり私事で恐縮なのですが,同居している父親が病気で入院している.数年前骨折で入院して以来,いろいろな機能が急速に衰えて行く様を目の当たりにしている.今回の入院で,さらに介護度が上がって在宅で過ごすにはさらなるサービスへの移行が必要になった.外泊させてみて,夜間何度も起こされてその度に排泄の補助をおこなうことの大変さを実感した次第です.ご家族を介護されている方は,みなさんこんな苦労をしてるんだな〜と思う.高齢者だけでなく,障がいや病気のために誰かのケアを必要とする家族を抱えている人にはこれが日常なんだもの.
 上野千鶴子さんにいただいた名著「ケアの社会学」に書かれていることは,今や私の日常に起こっている.これで私は介護当事者の仲間入りをした訳だ.

 これから一週間かけて,つれと私は大急ぎで父の介護部屋を整え,荷物を捨てたり新しい家具をいれたり,小規模多機能事業所を4カ所見学して...とめまぐるしい.これだけ読むと大変!と思われるかもしれないけれど,「それいゆ」開設の最初の5年間なんて週に5回当直してた.しかも日勤で働きいったん家に戻って子ども達にご飯を作りそれからグループホームへ.それを思えばなんとかなると思ってしまう.
 この10数年で在宅介護を巡る状況は大きく変化した.父はこれまで全く介護保険と無縁の生活をしてきたが,最晩年となり初めてサービスユーザーになる訳だ.おまけに今のケアマネは私の講義を履修したという(「先生の授業とりました」と言われて大量の汗).本当に人の人生というのは,どこで何が起こりどういう巡り合わせが起こるのか分からない.
 今回の件で改めて学ばされるのは,家族は介護者とならない方がいいこともたくさんあるという現実.父の尊厳は守りつつ私も犠牲にならない形は,傍目にどう映ろうと最優先としなければと思う.長い間私にとって不在の人であった父.家族の歴史の最後にどのようなページが挿入されるのかを考えた,長い長い一日だった.